空調服選びはバッテリーの選択から始めるのがベスト

炎天下での作業を経験する人達にとって、熱中症対策に有効な方法として空調服が活用されています。しかし、会社から支給されることが多い空調服の中にはバッテリー性能の違いにより勤務終了時まで快適さが保てないものが少なくありません。

では、どのようなバッテリーを搭載した空調服選びがベストと考えられるのでしょうか。

(2020年にバートルが手掛けるパーカーベストの空調服を比べてみよう)


空調服は着用時間から必要なバッテリー容量を計算して選ぶ

空調服は、長袖や半袖といった複数のタイプが存在しているものの、基本的な構造として外気をファンにより服の内側へ取り込み襟や脇から風圧により熱もろとも出す構造となっています。このため、空調服はただ着用しているだけでは効果がなく、バッテリーにより電源供給を受けたファンを動作させることで服の中に空気の流れを起こし続けて熱がこもらないようにするわけです。

人間は基礎代謝により常にエネルギー消費が行われていて、発生した熱が夏場は体外へ逃げにくくなることから熱中症の原因となっています。しかし、空調服により肌と服の間に空気の対流を起こすことで汗自体を素早く蒸発させることになり、結果的に気化熱を奪われた肌は涼しく感じられる仕組みです。

上着として着用する空調服は、ファンを2個以上搭載することが一般的であって、それぞれ電気で駆動するためにバッテリーを腰回りに組み込むことが多いです。バッテリー容量が大きければ確かに長時間ファンを回し続けることができますが、大容量バッテリーは重いという問題があるために着心地が悪くなります。

そこで、空調服として着用する時間の長さから必要なバッテリー容量を計算して搭載する必要があり、目安として8時間駆動ならば16,000mAH程度を搭載した製品が多いです。

搭載されているファンにより最適な電圧値が変わる

空調服に搭載されているファンは、空調服メーカーにより異なるので一律で比較することは難しいです。なぜなら、空調服のデザインでは1分間あたりにどれくらいの風量を空調服内に流せば快適性を保てるのかといった計算を行った上で、搭載するファンのサイズや電圧といった仕様を決めているからです。

空調服内に搭載するファンは、直径が大きいほど大容量の風を内部に取り込むことが可能ですが、回転数が低ければ風量が下がります。一方、小さめなファンを多数搭載して回転数を高めれば同じ風量を確保できるものの、今度はファンの回転数に応じて高音の風切り音やノイズが発生しやすいです。

そこで、各メーカーでは空調服に搭載するファンのサイズと回転数により最適な電圧値を割り出して搭載するファンの仕様を決めています。搭載されるファンの仕様が決まったならば、必要なバッテリー容量を計算して電圧と駆動時間の組み合わせから搭載するバッテリーを決めます。

空調服用のファンはオフィス内で使用する可能性があるために、静音設計かつ高耐久性のファンほど高価になりがちですが、なるべくシンプルな構造とするために回転数は流す電流の電圧で決めることが多いです。全く同じファンならば、流す電流について電圧が大きいほど回転数が上がる構造となっています。

バッテリーとファンの間に抵抗を接地することで、流れる電流と電圧を一定にすることが可能です。空調服ごとに搭載するファンとバッテリーの組み合わせが異なる理由は、空調服の設計次第で求められる最適な電圧値が変わることが原因です。


風量と電圧の関係を知ればベストなバッテリーを判断しやすい

空調服として十分な機能を発揮するためには、風量がどれくらい必要となるのか空調服内で対流する空気の流れをシミュレーションすることで判断します。

1秒あたり6Vの電圧で33L空気を流すことができるならば、12Vの電圧をかけることでファンの回転数を2倍にして66L流すことも可能です。ファンにかけられる電圧と電流の組み合わせ次第で消費電力が変わることから、バッテリー選びでは総容量だけでなく供給可能な電圧についての仕様も確認しなければなりません。

なぜなら、バッテリーには6V専用品と決まっているものがあるので、12V必要ならば最初から12Vに対応したバッテリーを選ぶ必要があるからです。

空調服向けのバッテリーは充電時間をチェック

大容量バッテリーを搭載した空調服ほど夏場の過酷な外作業に重宝しますが、中には風量を確保するために60,000mAH以上の容量を確保するケースがあります。問題となるのは、大容量バッテリーほど充電時間が長くなる傾向であって、中には8時間以上の充電時間が必要となる例も少なくありません。

残業まで考慮した長時間作業では、空調服に搭載するためのバッテリーとして交換用も用意しなければならない人も出るはずです。あまりにも充電時間が長いと、翌日の勤務までにバッテリー充電が終わらない可能性が出てしまいます。

そこで、空調服向けのバッテリーについては、駆動時間と充電時間の両方をチェックした上でどのタイプが使いやすいのか判断しなければなりません。空調服をデザインだけで選んでしまうと、残念ながら風量不足や稼働時間不足により暑い思いをしがちです。

就業時間のうち空調服のファンを動かさなければならない時間とバッテリー充電時間を考慮した上で、どの空調服を選べばベストな選択肢となるのか慎重な判断が求められます。

空調服のバッテリーは安全性重視でPSEマーク付き

大容量バッテリーほど事故が発生した時の被害が大きくなりやすいので、少なくとも電気製品に対する安全性を保証するPSEマークの認証を受けることが空調服に搭載するバッテリーでは義務付けられました。夏場の炎天下で工事作業を行う人にとっては、過酷な現場であっても比較的快適に仕事を続けられるように空調服が重宝しています。

しかし、空調服に搭載されるバッテリーが原因で事故が発生してしまえば、そもそも仕事をしていられる状況ではなくなってしまうわけです。そこで、少なくとも過酷な環境下で使用される可能性がある空調服のバッテリーには、PSEマークを付けられるほどの品質が求められます。

実際に空調服使用中の事故を防ぐ目的で搭載可能なバッテリーについてPSEマーク取得品のみ可能という規制がかかっています。

空調服を快適に安心して使うためにはバッテリー選びが重要

空調服は単にファンが搭載された作業着といったものではなく、熱中症を防ぐための重要な製品として位置づけられています。空調服のデザインは様々なタイプが考案されているものの、各デザインごとに必要となるファンの搭載数と仕様が異なるため、搭載するベストなバッテリーもそれぞれ変わります。

空調服を安全に使うためには、搭載されているバッテリーのチェックが重要なポイントとなるわけです。